「暗記系が苦手」という人にとって、天敵ともいえる教科が「世界史」ではないでしょうか。日本史よりも耳慣れない単語が多く、しかも覚えなければならないことも多い…とお思いの方に向けて、世界史の攻略方法をまとめてみました。
世界史の攻略方法その1:大まかな流れを掴む
世界史を勉強する際は、「大まかな歴史の流れ(出来事)を掴む」→「単語・専門用語を覚える」→「演習問題や記述問題を解く」という流れで取り組むのがおすすめです。
世界史に苦手意識を持つ人は、「膨大な量の単語」「複雑な出来事の流れ」を一度に詰め込もうとしがち。それが上手くいかず、さらに世界史への苦手意識を強めてしまうのではないでしょうか。そんな時こそ、上記で説明した流れを意識してみてください。
大まかな歴史の流れ(出来事)を掴む
この勉強方法を「通史」といいます。主な出来事や時代ごとの特徴を掴めていなければ、単語や専門用語もなかなか覚えられません。また、記述問題や選択式問題では、「以下の出来事を起こった順番に並び替えなさい」「~に至るまでの過程を簡単に記述しなさい」という問題が出題されます。この問題に対応するためにも、時代ごとの特徴・流れを知っておくことは大切です。
タテのつながり・ヨコのつながりを意識する
通史の勉強では、歴史の「タテ・ヨコのつながり」を意識すると◎。世界史のタテのつながりとは、その国(地域)の時代の流れを指します。また、その時起こった出来事が未来に与えた影響についても覚えておくと良いでしょう。例えば「18世紀後半に起こったイギリスの産業革命は、雇用主と労働者の関係を形作り、現在における資本主義の基礎を作った」といえます。これが世界史のタテのつながりです。
一方のヨコのつながりとは、同年代に起こった出来事とその影響を国別に把握すること。例えば18世紀に起こったアメリカ独立戦争は、後のフランス革命勃発の間接的な要因でもありました。アメリカ独立戦争にて、フランスはアメリカ側に参戦。しかし、それが原因となって当時のフランスの財政破綻は決定的になりました。その結果、民衆の不満が爆発する間接的な引き金となったと考えられています。
このように、歴史上の大きな出来事は、1つの国だけに大きな影響を与えるものではありません。「A国ではこの出来事があったが、同年代のB国ではどんなことがあったのか」「A国の出来事は各国にどんな影響を与えたのか」という点を意識して学習すると良いでしょう。
世界史の攻略方法その2:単語を覚える
歴史の流れを大まかに掴んだら、単語や専門用語を覚えていきましょう。人物名・国名・年号など覚えることは少なくありませんが、一問一答や単語帳などを使って根気よく覚えていくことが大事。また、ただ丸暗記するのではなく、その単語の背景を簡単に知っておくことも忘れずに。
例えば、「A条約」という単語があったとしたら、「その内容をそのまま覚えること」+「その条約が与えた影響を覚えること」を意識すると学習が進みやすくなります。「A条約があったから、B国にはこんな影響があったのか」「B国の影響があったから、その後にC条約もできたんだな」と理解が進み、芋づる式に知識が定着しやすくなりますよ。
一問一答問題週の使い方
ひと通り単語を覚えたら、一問一答を使って知識の定着率をチェックしましょう。答えられなかった・間違った単語があっても、逆に定着率アップのチャンスだと捉えて復習することが大切です。なお、記憶の定着が曖昧なまま自分でノートをつくることはおすすめしません。定着率が曖昧なままノートをつくると、自身の理解度や定着率が正しく把握しづらくなります。
世界史の攻略方法その3:記述問題を解く
通史と単語の暗記をひと通り完了させたら、記述問題や論述問題を解いていきます。通史・単語暗記がインプットなら、記述問題・論述問題はアウトプットの段階にあたります。自分の言葉で出来事・単語の意味を説明できるようになれば、世界史はひと通りマスターしたといっても過言ではありません!
最初は短文から始める
最初は無理せず、100文字以内の小論述問題に取り組んでみましょう。字数が少なく、起こった出来事をかいつまんで解説するというシンプルな問題であるため、記述問題・論述問題に慣れるのに役立ちます。最初のうちは、教科書や用語集などを見ながら進めるのも良いでしょう。慣れてきたら少しずつ文字数を増やし、より俯瞰的な内容を論述できるようトレーニングすることが大切です。
逆に、暗記が得意な時はどう勉強する?
「単語や専門用語の暗記が得意」という場合は、先に通史をせず単語の暗記から進めてもOK。先に単語を頭に入れて通史の勉強へ移り、点と線をつなげていくようなイメージで学習すると良いでしょう。
理解を深める世界史ノートの作り方
世界史の勉強をしていて、「ノートをどうまとめればいいのかわからない」と悩む人も多いのではないでしょうか。より理解を深める&記憶の定着を進めるために役立つノートの作り方・まとめ方を紹介します。
自分の言葉で知識をざっくりとまとめる
学習したい範囲(年代・国・出来事など)を決めて、その範囲の教科書や資料集・用語集を読み込みます。要点を大まかに掴めたら、「どの時代に・誰が・どんなことをして・どのような変化が起こったのか」という点をできる限り盛り込みながら自分の言葉でまとめましょう。ここではスピーディーさを重視して、完璧にまとめなくてもOK。
また、通常のノートよりもルーズリーフを使うのがおすすめです。「上手くまとめられなかったからもう一度ページを作り直したい」「付け足したいことが増えた」という時でも、ルーズリーフであれば簡単に順番を入れ替えたり、ページを付け足したりすることが可能です。
色を上手に使ってまとめる
重要度が特に高い単語や、自分が重要だと思った単語は色ペンで書くと良いでしょう。要点が目に付きやすくなりますし、暗記シートで隠して一問一答代わりにも使えます。ただし、色数が多くなりすぎるとかえってノートが見づらくなってしまいます。使う色は、2~3色程度に留めるのがおすすめです。
余白を残しておくと便利
ノートいっぱいに情報を詰め込みたくなるのもわかりますが、ところどころに余白を残しておくのがおすすめ。世界史の勉強では、練習問題を解いていくうちに「ピンポイントで付け足したい知識が増えた」となることが少なくありません。ノートに余白を残しておけば、知識の追記がしやすくなるでしょう。
一問一答と一緒に使って知識の定着を図る
まとめたノートは、一問一答と一緒に使うと良いでしょう。自分の言葉でまとめたノートも使うことで、より知識を噛み砕きやすくなり、定着させやすくなります。ノートを2~3周して知識をインプットし、3周目以降からは特に苦手な単語を重点的にインプットしていきましょう。
世界史に苦手意識を持ってしまう理由
「暗記が苦手」「次から次に変わる話についていけない」など、世界史に苦手意識を持ってしまう理由は人それぞれではないでしょうか。
暗記が苦手
「世界史=ひたすら暗記する教科」という認識が染み付いてしまい、それがそのまま苦手意識につながってしまっているパターンです。また、暗記が苦手な人ほど「とにかく詰め込みで覚えて点を取ろう!」という策に走ってしまうケースも少なくありません。しかし、世界史は年号・人物名・国名・条約名…など、覚えることが多くひたすら暗記する方法では完全に克服できません。
暗記が苦手な人は、「大まかな出来事の流れを覚える(通史)」ことから始めるのが安心。話の流れがつかめたら、それに伴って単語の意味や文脈、他の出来事との関連性も少しずつハッキリとしてきます。
話の流れを上手くつかめない
「単語の意味は分かるけど、話の流れや文脈を上手く説明できない」「次から次へと話が変わり、全体の流れを上手くつかめない」という人は、教科書+別の教材を使って流れをつかむのがおすすめ。教科書は表現が難しかったり堅苦しかったりして情報を追うので精一杯になり、挫折しがちです。世界史の流れをわかりやすく解説した動画やWebサイト、漫画などを使うと良いでしょう。
その後は、練習として論述問題や記述問題にチャレンジします。インプットした知識を、自分の言葉でアウトプットするトレーニングを積むことが大切です。「覚えて終わり」ではなく、インプットとアウトプットを根気よく繰り返して知識をモノにしていきましょう!
イメージしづらい知識・モノが多すぎる
世界史を勉強していると、聞き慣れない単語や知識が次々と登場します。日本から遠く離れた国や地域の話題だと、それに拍車がかかってしまうもの。特にイメージしづらい単語や知識、シチュエーションに直面したら、ドラマや漫画、映画、解説動画など「ビジュアル主体の媒体」を使って理解を深めていくと◎。
「この単語が出てきた時、漫画ではこういう描かれ方をしていたな」「ドラマではA条約のシーンがこんな風に説明されていたな」と、それまで未知だった単語と結びつく情報が増え、より身近に感じられるようになります。
苦手意識だけを見て過剰に卑屈になっている
出来なかったこと・間違えた部分だけが鮮明な記憶として残ってしまい、「自分は出来ない」と決めつけている人も少なくないのではないでしょうか?自分の苦手なものと向き合うことは、確かに大切です。しかし、それ以上に「出来たこと・解けた問題」にも目を向けて自分を褒めてあげることが重要。「AはできなかったがBの流れはわかってきた」「目標の点数には及ばなかったが、最初の頃より○点伸びた」など、達成感を味わいながら勉強をしたほうがモチベーションを保てますよ。
ここでご紹介した世界史の勉強法は、あくまでひとつの例です。自分が得意としていること、苦手としていること、興味のある分野と上手に結びつけながら、世界史の勉強を進めていってくださいね。